おもちゃばこ。

にゃんのひとりごと。マーケティングリサーチ業界で気ままに生きています。

退職エントリ(社外用)

1/31付で、新卒入社して2年10ヶ月過ごしたマーケティングリサーチ会社を退職しました。 

まとめ

なんで辞めたの?

⇒「誠実で正しくあること」という、会社のValueを大切にした結果

何をやっていたの?

B to Bでデータ分析業務を受諾する、俗に言うマーケティングリサーチャーをやってました。主にストックデータの扱いを武器としてお仕事してました。

肩書き上は「データアナリスト」を名乗る部署でしたが、業務内容はコンサルティング30%、エンジニアリング19%、アナリティクス1%みたいな配分です*1

1年目の配属当初はネ申excelを量産するデータ集計をやってました。SPSS modelerの謎仕様に詳しくなりました。

2年目は大規模プロジェクトに投入され、ひたすらマスタデータ構築と集計データ出力の日々でした。巷で話題のデータ整備人っぽいですが、SQLすらあんまり使ってないです。その他、プライベートDMP構築のためのデータ整備なんかも請け負ってました。

3年目はフロントに立つ機会が格段に増え、仕様設計から報告プレゼンまで、データに触る前後工程を主戦場としてました。これまた巷で話題のアナリティクスディレクターというやつに近いかも。そのほか、BIツール・DMP導入支援やautoMLまわりにも手を出してました。

よかったこと

若手メンバーにも色んなチャンスが開かれていた

会社自体が若いこともあって、入社2-3年目メンバーであっても任される業務の範囲と裁量が広かったように感じました。同業他社の新卒2-3年目では出来ない経験がいっぱい出来たと思っています*2。入社時の自分が聞いたら驚愕するくらい、全社的にも大きなプロジェクトにもバシバシ投入されました。年に一度、全社で画期的だったプロジェクトを表彰する取り組みがあるのですが、そのうち半分くらいに裏で関わってたような気がします。

会社の雰囲気やメンバーの人柄が良い

雑談も活発で、メンバー間の仲は非常に良かったです。誰かが困ってる時にはチームで助け合うような文化がありました。直属の上長との1on1も、毎週30分程度設定されていたので、些細なことでも相談しやすかったです*3

様々なクライアント・規模のマーケティング課題に触れられた

FMCGメーカーや代理店さんを中心に、様々なお仕事を担当させていただきました。入社当時は「データ分析の仕事がしたいから、アナリティクス/エンジニアリング領域のことだけやっていれば良い!」というスタンスでした。そのため、ビジネス・マーケティング側の感覚が欠如(というより興味すら持てなかった)のですが、いろんなマーケティング課題に向き合うお仕事を経験させていただくなかで、ココのセンスが日に日に磨かれていくのを実感しました。ブランディングの科学は神です。

なぜ、退職したの?

給与

給与水準の低さもさることながら、昇給の人事査定に関する納得感が一切得られないことへの不満です。

年1回の昇給・昇格で、1年目に月額+1万円、2年目は月額+5万円程度の昇給でした。いずれも昇格を伴っており、2年目の昇給後の給与額が当該職級での最低ラインに完全一致です*4

ところが、1年目の昇給では他部署の新卒同期で私のその5-10倍レベルの昇給額が続出していたようです。私の狭いコミュニティの中で直接・間接的に確認できた中では、私の昇給額が同期で最低レベルでした。正直、1年目のパフォーマンス程度でココまでの差がつくとも、仮にそうだとして自分のパフォーマンスがそこまで極端に劣っていたとも思わないので、この昇給額は不服でした。

てなわけで「なぜ、この昇給額なのか説明を求める」ってのを部長に直談判したのですが、何を言っても「そんな事実は無い」「高く評価した結果」としか返答が無く、とはいえ実際の昇給額は「高く評価した結果」では到底あり得ないので、納得感は皆無でした。

せめて給与テーブル公開してもらえるだけでも、精神的な折り合いつけられたんですけどねえ。

キャリアプランとの不整合

前述の通り、晩年は色んなプロジェクトに参加させて貰えました。いずれも全社で注目されている革新的なプロジェクトでした。ただし、これらのプロジェクトで私に求められた役割は、“マネジメント”という名前の「各種タスク整理・スケジュール調整」でした。プロジェクトマネージャーと実際に手を動かす人の繋ぎみたいな動きです。

それでも、業務上信頼できるor育てたいと思えるメンバーと組めていれば、まだそんなに苦にはならなかったんだと思います。そういうキャリアに舵を切る選択肢もあったと思うんです。

ところが、実際にやっていたことは、

  • 毎朝毎晩「私はこんな仕事やりたくない」って言ってくるのを必死に宥めつつ、そのメンバーが抱えてるの他の業務を別の人に代わってもらうための業務割り振り調整に追われたり。
  • 部署の可愛い女の子に長時間絡みに行って肝心の作業が遅れてるメンバーがいたので、関係各部署に「ホントにすみませんあと3日納期伸ばせませんか」と頭を下げて回ったり。
  • 「今日も外部セミナーに参加してきます!」
    「行ってらっしゃい!
     ちなみに今日締め切りのってスケジュール余裕あったから後は納品するだけですか?」
    「あ、手つかずです!やっといてください!」

みたいな、プロジェクトマネジメント以前の日々でした。お前ら私より社会人経験長いんじゃないのかよ。でもって、こんな調整にも真面目に向き合っていると、追い打ちをかけるように「同時並行でこっちのプロジェクトでも同じ役割をお願い」が続出しちゃうので、気がついたらこの1年の大半を「誰かの仕事内容の指示出しとスケジュール調整」に費やしていました。

という状態なので、この1年ほどのお仕事で自分が手を動かしてデータ分析業務に従事した時間は10%にも満たないです。10%が発生した理由もお察しください。世間では「エンジニア35歳定年説」なんてのがありますが、私はデータ分析者を27歳で引退コースに乗っかってしまいました。自分ではまだまだプレイヤーとしても各種スキルを大きく伸ばしていけると思っていただけに、これは非常に不本意です。

そして何より、自身のキャリアとして、将来的にはデータを活用した商品・サービス開発側に携わりたいとの思いがずっとあったので、この段階でマネジメント業務だけで日々が消えて行くのは(仮にそれが真っ当なマネジメント業務であっても)意味が分からなかったです。私にとって、この会社でのマネジメント経験は「後からいつでもできること」で、社内に豊富にあるデータの価値を十二分に活かしきれていない現状に立ち向かうことや、そのためのデータに向き合うスキルを伸ばすのは「今だからこそやる価値のあること」でした。

自分が欲しかった経験のチャンスをワガママ言った彼らが全部持っていって、自分のお仕事は彼らの子守りなんだなぁーと思うとすごく虚しくなりました。ということで、10歩くらい譲って、データ分析者を引退してマネジメント業務にキャリアの軸足を移すとしても、残念ながらこんなチームでの“マネジメント”には魅力を感じませんでした。

働き方

上記の諸々の現状があったとしたも、「残業ゼロ!プライベート充実!」とかであれば、会社の外でいくらでも高みを目指せばよいので、まだ妥協できたと思っています。

ですが、現実には皆さまお察しの通りです。。。

当初は「リモートワーク的な働き方も歓迎するよ」ってお話だったんですが、自分が分析者として手を動かすならいざ知らず、”マネジメント”的な業務が振られてしまうとそうは問屋が卸しません。メンバーとのコミュニケーションを密に取っておかないと、事故って深夜・休日にフォローするのは私なのです。結局リモートワークが実現したのは数日だけ。ただでさえ残業体質の会社で定時帰宅なんて夢のまた夢なのに、プロジェクトが佳境を迎えると結局、深夜・休日対応の日々です。

毎日のように遅くまで残業が続いてる状況は、そりゃあ、家族との関係性にもプラスに働くことはありませんよね。詳細はお察しください。

マネージャー陣への不信感

はい、こちらが本丸です。

前述の通り、直属の上長に相談するチャンスは掃いて捨てるほどあったのです。人間的にはとても魅力的な方ですし、事実、手を替え品を替え相談し続けてました。が、無駄でした。

例えばMBOってご存知でしょうか。上長と中期的なキャリアの方向性をすり合わせつつ、会社・個人の向かうべき方向が合致するような業務上の目標を設定して、期末にはその目標に照らし合わせて成果を評価する一連のプロセスだと理解しているんですが。

最初の頃は、

「現状の業務では●●がボトルネックになってますし、個人的にも商品・サービス開発側のキャリアに進みたいと思ってるんで、▲▲みたいなミッションを背負って会社に貢献したいです」

「俺もそれは重要だと思う、その方向でMBOの目標を設定しよう」

みたいなやり取りをしてたので、お互い合意していたし、応援いただいてると思っていました。
実業務が”マネジメント”に寄って、雲行きが怪しくなったときにも、

「『▲▲みたいなミッションを背負う』って点でお互い合意したと思うんですが、現状、特に説明もなく全く違う業務ばっかり発生してますよね。ひとえに私の力不足なので申し訳ないですが、この現状、どうしたらいいですかね?」

「次の四半期はちゃんと動けるように手を打つから」

のように、事態の改善に向けた対応を約束いただいたと思っていました。
まあ、こんなやり取りがn回続くと、最終的には

「…という話をずっとし続けてると思うんですが、この会社の文化って、MBOの合意をそこまで軽視しましたっけ?」

「その点は非常に申し訳ないと思っている」

「であるなら、今この場で自分のMBOを会社の方向性に沿うように全面的に書き直したいんですが、よろしいですか?」

「その必要はない」

みたいなやりとりになってましたが*5

仮にあと数ヶ月在籍していたとして、「目標:売上3000万」「成果:新卒採用50人」みたいなねじれが起こっている現状に、どんな納得感のある人事査定を下すつもりだったのかは気になるところです。でもって個人的に悲しかったのは、1年前に辞めた優秀な同期の退職理由もまさにコレだったことです。何にも学んでないじゃないか。

じゃあもっと上のレイヤーに相談すれば良かったのではという話ですが、残念ながらそれは論外です。人事査定の理由を真っ当に説明できないどころか「給与額を気にするなど社会人としてあるまじき姿。お互い気持ちよく働こう」なんて言葉で締めくくった偉い人を信用するのも難しい話です。退職の報告をした際にも「あの時から退職は懸念していた」「だから対策は打ってきた」とか言われましたが、前者は当然のこととして、後者は「嘘つくにも大概にせえよ」としか思えませんでした*6

会社が大切にしているValueのひとつに「誠実で正しくあること」ってのがあるんですが、誠実で正しくあろうと接して、それを幾度となく裏切ってくる方々と働くのは難しいな…というのが正直なところです。

ひとえに圧倒的な実力でねじ伏せる力が無かったのが敗因ですかね。

これからどうするの?

前職と同じ業界で、デジタルマーケティング系のデータ分析業務(企画・運用が半々くらい?)をやることになりました。給与はほんの気持ち程度のアップです。

求人票には「データエンジニア」って書いてありましたが、近い業界なんでそんなにやること変わらないはず。面接では順にSQL、tableau、Rあたりの使用経験を聞かれたので、そのあたりのツールをそんな優先順位で使うお仕事なんだと思います。

「前処理ばっかで地味だよ〜」とのことですが、その辺はあんまりギャップは無さそう。スキル面でも向こうの期待値に届いているかは疑問ですが、入ってしまえばコッチのものだと思ってます。面接ってそういうものですよね。むしろ職場の雰囲気とかに馴染めるかが不安ですが、がんばります。

FAQ(随時更新)

Q.(社内用)もあるの?

A.あります。最終出社日に人事その他関係各部署の然るべき筋に共有済みです。この記事より実例多め、個人エピソード控えめでお送りしております。

*1:足して100になってないのは察して下さい

*2:転職エージェントからは「会社から自由と裁量を与えられすぎているので、辞めるのは勿体ない」と言われてしまうレベルでした。

*3:最早、寂しがり屋さんのマネージャーをメンバー総出で構ってあげてる感覚でした。悪くはなかったです。

*4:給与テーブルなるものは社内でもメンバー非公開だったので、“最低ラインに完全一致”の調査は困難を極めました笑

*5:退職前に人事部の然るべき筋にこの話を共有したら絶句してたので、残していった後輩たちは多少マシになると信じてます。

*6:おまけにその直前に大炎上してた某案件の責任を取って辞めるのか?とかも言われましたが、ちょっと何言ってるか全然分かりませんでした