読んだ本(2020年4〜5月)

半月ほど遅れですが、2020年4〜5月に読んだ本から一部抜粋。

実質、この何倍かのなろう系小説を読んでましたが、挙げたらキリが無いので対象外です*1

 

情シス・IT担当者[必携]システム発注から導入までを成功させる90の鉄則

『システムを「外注」するときに読む本』がストーリー仕立てだったので、もう1冊実務寄りの本が読みたいなと思って手にとった本。ちょうど業務でRFP・RFQを作成しなきゃいけなくなり、とはいえ初めてで全然勝手が分からなかったので、本書記載例のRFPの目次やサンプルなどが役に立ちました。自分のやってる業務がITサービス企画とかに位置づけられるんだなあ、と最近気づいた。

その他、下記のような契約時のポイントも「なるほど…」って思いました。

  • 著作権は自社に帰属されておけ
  • 多段階契約は不利になるからやめろ
  • 瑕疵担保期間は1年を基本にしろ

実務経験があんまり無い(これから積む)領域なので、まだ「ふーん、そうなんだ」で終わってしまった章も多いのですが、今後の経験を積む中で「あのときはこうすればよかったのか!」と、折に触れて振り返ることになるんじゃないかな、と思える本です。最近もベンダーとの契約書の起案とかあったので、当時は実感が湧いてなかったとしても、読んでてよかったです。

 イノベーションのジレンマ 増補改訂版

『ジョブ理論』読もうかなって思ったら、

って言われたので、とりあえずこちらから先に読むことに。

高校の現代社会の教科書で読んだ、あのS字カーブの不連続の図は破壊的技術じゃなかった!というのが最大の学び。破壊的技術は、同じ縦軸で評価するだけでは不十分で、従来の技術では利益率が低いから参入しにくかった市場に別の評価軸で戦いを挑んだことのほうがメインで、でもって、その過程で結果的に従来の評価軸でも既存技術を上回るようになった、と捉えたほうが良いっぽいですね。

前職でも現職でも、利益率が高い事業部のみなさまに稼いでもらったお金でお給料貰って、自身は利益率の低い業務に従事しているので、そういうポジションこそ”イノベーション”を起こすために会社に存在しているんだよなぁーって思った次第。標準化か経費削減ばっかり求められてるけど。 

 1からのデジタル・マーケティング

1からのデジタル・マーケティング

1からのデジタル・マーケティング

  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 単行本
 

そういや”デジタル・マーケティング”ってあんまり知らないなぁーと思って、日本マーケティング本 大賞2019なる前評判の良さから手にとった本です。

各章、「伝統的なマーケティングでやってたことはこうなんですけど、今のデジタル社会だとこんな事例に変化してますよね」という流れを、割とオーソドックスなマーケティング本の章立てに沿って(ここ重要!)、事例重視で紹介してるスタンスです。厚みはない。ので、自分の知っているマーケティングの流れに、デジタルならではの事例を+1していくような読み方になります。いつか私大文系の大学教員になったら、この本を題材に毎週ミニレポートを課す授業をやります。

このシリーズ/出版社、完全にノーマークだったんですが、『1からの〜』シリーズが他にも結構色々と出ているんですね。ミネルヴァの『よくわかる〜』シリーズの経済・ビジネス系って感じですかね。今度気になったジャンルが出てきたら選択肢の一つに入れてみます。 

Google流資料作成術 

Google流資料作成術

Google流資料作成術

 

GAFA推しみたいな胡散臭いタイトルだけれど、原題は"Storytelling with data"とまとも。Tableau, BIツール界隈で多くの人が読んでいる印象の本。Tableau Data Saberの認定試験を受け始めたので読んでみました。

内容としては「シンプルかつメッセージが伝わりやすいデータ表現を心がけましょう」ということに尽きます。その背景にある認知心理学みたいな要素にも触れられています*2。いわゆる”デザイン本”と比べると、データの見せ方に特化している点、ならびに「ストーリー」という手段に重きを置いている点が差別化ポイントでしょうか。マーケティングの世界でも、CやUから始まる外資FMCG企業が「ストーリー」を重視しているって話をよく耳にします。

書かれている内容の多くがこれまでの経験のどこかには引っかかるので、必ずしも特段の目新しさがあるわけでは無かったです。裏を返せば、某マーケティングリサーチ会社での新人研修で受けた資料ビジュアルに関する指導*3は、いずれもこの本の下位互換でした。

Tableauデータ分析 〜入門から実践まで〜 第2版

Tableau入門書といえばの本に第2版が出たので、会社の補助制度を活用して買ってみました。約700ページと異様に分厚いですが、その実態は操作一つ進むたびにスクリーンショットを載せているからだったりするので、実際に真似しながら動かしているとあっという間に100ページ分くらい進んでいます。コワクナイヨ!

内容はかなり網羅的で、セット、パラメーター、LODなどの機能まで一通り触れられていました。Tableauの「操作」という観点だけでいえば、触りたてユーザーは本書に書かれてることを一回トレースしてみるだけで世界が広がるんじゃないかと思います。版が更新される入門書は信頼できますよね*4

「あなたの知らない」マーケティング大原則

 『なぜ「つい買ってしまう」のか? 』『ジョブ理論』といった、近々読みたい本の「こんな本も買っています」一覧に出てきたので、会社のお金も年度末で余裕ありそうだし…と思って買ってみた本。

元P&Gや元CCJCのマーケターの著者お二人が、マーケティングで生じる各工程について、自身の経験・具体例を参考にしつつ、割と具体的な「絶対原則」として紹介している本です。どれくらい具体的かって、例えば

ロイヤリティープログラムでは、割引ではなく付加価値を提供する(p.334) 

とか言い切っちゃうくらいには具体的です。同様の話は『ブランディングの科学』にもありましたね。P&Gマフィア的な発想から出てきた「原則」たちなので、人によってはすごく斬新に映るかも。個人的には「今、話題にしたいならTwitter一択だよねー」とか書いてるのも印象的でした。

他にも、まさに「原則」となるような行動指針がいくつも提示されているのですが、提示されている「原則」が100近く出てくるので、息をするようにこの「原則」を全部実践できたらそりゃ”いちりゅうのまーけたー”になれますよねー、とも思いました。

我もまたアルカディアにあり

こちらのブログで紹介されているのを読んで、 ハヤカワSFの50%OFFセール中だったし思わず衝動買い。

今流行のStay Home本ですね。ポストアポカリプスものだし、羽根を伸ばしきれないような息苦しさがありながらも、それでもどこかで肩の力が抜けているような、でもって目の輝きを捨てきっていないような、そんな雰囲気の作品でした。ふしぎ。

個々の短編がストーリーとして繋がってくるところを楽しみつつ、でも思ったほどには波に乗り切れず。一読しただけでは上手く消化しきれていない感覚がありました。これだからSFは辞められませんね。

天冥の標

《天冥の標》合本版

《天冥の標》合本版

 

5月は可処分時間のほとんど全部を『天冥の標』(と、Tableau Data Saberのあれこれ)に費やしました。

ぼくらがSFに期待するような、ワクワクするような世界の秘密と、想像を超える圧倒的なスケール感と、それらに立ち向かう魅力的な登場人物たちと、それでいて過去も未来もヒトがヒトである限り変わらない営みと、その全てをコレでもかって詰め込んで煮詰めた上に追いオリーブオイルしたような作品です。控えめに言って傑作では。

ところでコレ呟いたら著者さまから反応いただいてめっちゃ驚きました。*5 

 

*1:なろう系と言いつつカクヨム派です。

*2:みんな大好きゲシュタルト心理学とかアフォーダンスとか。アフォーダンスは案の定、誤読してた頃のノーマンの解釈だけど。

*3:皆無

*4:ただし10章と11章は(初版と同じ内容のはずなのに)結構誤字ってますね。編集…

*5:C.P.Snowは大学で読書会をした思い出。C. P. Snow『二つの文化と科学革命』 - Speaker Deck