おもちゃばこ。

にゃんのひとりごと。マーケティングリサーチ業界で気ままに生きています。

応用情報技術者試験の振り返り

令和2年秋期(2020年10月)の応用情報技術者を受け、合格しました。

せっかくのブログなので、応用情報技術者を受けるまでのモチベーションやそのためにやったことの記録を公開します。

f:id:meow3571:20210111191039p:plain

なんで受けようと思ったの?

文系学部卒業→マーケティングリサーチ業界で働いてきて、あくまで本職はマーケティング/データ分析ではあるものの、それだけの知識・経験だけだと限界を感じる機会が何度かありました。

具体的には下記のようなエピソードです。*1

  • ダッシュボード/DMP構築プロジェクトで、プロジェクトを適切に管理できる人が社内に誰もいなくって酷い目にあった
  • データ処理のパフォーマンス・データ基盤を考えるにあたって必要な前提知識(バッヂ処理とかクラウドとか)がそんなになかった
  • SIerさんへの業務依頼や進捗把握の場数がないまま手探りで進めてた

ということで、”ITエンジニア”と呼ばれる方々の持ってる知識・経験の一端を知っておくことで、本業での生き辛さが少しは緩和されるんじゃないかなという期待がありました。

受験を決めた当初、いわゆるコンピュータサイエンスのことは全然わかっていませんでしたが、データ分析をしているので、プログラミング(R, Python, Matlab)とデータベース(SQL)には軽く触ったことがありました。基本情報を飛ばしていきなり応用情報にチャレンジしたのは「どうせならひとつ上のほうがカッコいいじゃん」くらいの軽いノリです。*2

実際、データビズラボさんの記事でもデータ分析者のスキルのいちばん基礎に基本情報技術者を挙げていたので、ぼくの見立ては間違ってないんじゃないかなと思います。

どんなことを勉強する必要があったの?

主にテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3領域から出題されます。

テクノロジ系

  • 基礎理論
    基礎理論(数学・情報・通信)、アルゴリズム、プログラミング
  • コンピュータシステム
    コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア
  • 技術要素
    ヒューマンインターフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ
  • 開発技術
    システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術

出題の半数以上を占める領域で、各種アルゴリズムやOS、SQLや暗号鍵、アジャイルなどの開発手法まで幅広く出題されます。「これがITエンジニアの基礎知識なのかぁー、これまで全然勉強したことないぞ…!」と思っていました。

マネジメント系

PMBOKITILなどの知識が問われる領域です。ぼくが今度は痛い目を見ないように補いたかった知識のひとつはまさしくこの範囲でした。ぼくが現職のお仕事でやっているのは「ITサービスマネジメント」に近いらしいですね。という名前がついていたんだなあという点からして今回の新たな発見の一つでした。

ストラテジ系

  • システム戦略
    システム戦略、システム企画
  • 経営戦略
    経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ
  • 企業と法務
    企業活動、法務

マーケティングや会計・財務、知財や労働・取引関連の法律が問われる領域です。IT関連で必要な関連領域を幅広くカバーしていて、個人的にとても感動しました。この領域の問題には本業の知識(ビジネス/マーケティング)も活かせるので、自分の武器する気持ちで取り組んでいました。

どうやって勉強したの?

午前試験

メインでやったこと

まずは下記の1冊を一読しました。

本屋でコスパ的にいちばんピンと来たのが本書でしたが、別に他のものでも大差ないかと思います。本書のメリットは試験範囲に即した章立て担っている点と、説明・演習が連動している点でしょうか。一方で、他の参考書に比べて「基本情報技術者の知識があることが前提」という点は、いきなり応用情報から受け始める方には最初ちょっと辛いかもしれません。*3

その後は、応用情報技術者過去問道場さんをひたすらやり込みました。

出題範囲を「おすすめ」(出題の多い5カ年分)に絞って、80問×10回分=800問についてきちんと根拠を持って正答できるようになることを目指して繰り返し解きました。他の年度の問題に手を広げるよりも、この10回分の正答率を上げることを優先しました。

過去問演習を重ねていく中で、上記の参考書の2周目を通読したり、特に苦手だと思った範囲を改めて読み返したりしていました。

その他に読んだもの

ネットワーク部分は参考書を読んでも全然分からなかったので、kindleセールで1冊買って読んでみました。応用情報の参考書では単語の意味だけの説明になっているところも、図解で表現されていたり、そもそもなんでそういう考え方が必要なのかが触れられていたりして、非常に助かりました。

その他、下記の4冊は応用情報のために読んでいたものではないですが、結果として内容が関連していた本です。

データ分析でお仕事をしていたのでSQLを書いてデータ抽出することへの苦手意識はなかったんですが、そもそもの正規化とか、データベースの構築・削除とかも必要な知識軍だよなーと再確認したり。

SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作

SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作

アルゴリズム図鑑』は本もさることながらアプリで見るのが楽しかったり。

自分がいまの業務でやっていることは応用情報の「サービスマネジメント」という領域に近いんだと言うことを知ったり。

SIerとのやり取りの参考に読んだ本が、応用情報の「システム開発」「プロジェクトマネジメント」の考え方と通じていたり。

テクノロジ領域のセキュリティ、ソフトウェア・ハードウェアについては、もうちょっと追加でお勉強したほうが良かったなとは反省しています。この領域はいずれ補完したいので、良い本とかあったら教えて下さい。

午後試験

記述式ということで、問題形式に慣れるか勝負だなと思い、下記の問題集に取り組みました。

2021 応用情報技術者 午後問題の重点対策

2021 応用情報技術者 午後問題の重点対策

本番では、セキュリティ必答+その他4分野選択の計5問に解答する必要がありますが、合格すること自体より、それを通して関連領域の知識・考え方を身に着けたかったので、この段階では特に取捨選択せずに全領域の問題を一通り解いていました。

午後問題では、専門用語よりも考え方が身についているかと、問題文から正しく要件を理解する国語力が問われることが多いため、例えば組込みシステムなんて大学の授業でArduinoに一度触ったことがあるっきりでしたが、意外と午後問題でも解くことができました。逆に、データベース系はSQLでデータを抽出することに苦手意識はなかったものの、データベース管理の経験はなかったためテーブル正規化やER図作成の問題は解きづらく、想定外にデータベース領域には苦戦しました。

試験当日はどうだった?

午前試験は、聞いたことのない用語からの出題が多く非常に焦ったのですが、一方で過去問からの使い回し問題も体感で20〜30%程度あったため、確実に自信を持って回答できる問題がそれなりにあった点では気が楽でした。事前情報通り、応用情報の午前問題は過去問からの出題が一定割合を占めるので、インプットだけでなく過去問演習をいかに繰り返すかが合格への分かれ道だと思います。

午後試験は、当初の予定では「経営戦略」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「システム監査」「データベース」の5領域から解けそうな4領域を選択しようかなと思っていました。が、プロジェクトマネジメント領域・データベース領域の問題を見て自信がなかったので、急遽、国語力で解けそうなシステムアーキテクト領域を解きました。この点、過去問練習の段階では領域を定めずに広く解いていたことが功を奏しました。

ちなみに、2020年10月の試験だったこともあり、試験におけるコロナ禍の影響はこんなかんじでした。*4

  • エレベーターの人数制限があった
  • エレベーター待ちで会場入りが遅れた人が多く、午前の開始が15分遅れた
  • とはいえ午後の開始時間は変わらなかったので、昼休みがその分短くなった
  • コロナ禍で、会場でご飯を食べるのが怖かったこともあり、
    予定よりも短い休み時間でお昼を外で食べて帰ってくる必要があった

結果はどうだったの?

下記の通り、合格ライン6割に対して、午前・午後ともに7割後半の得点でした。

f:id:meow3571:20210111191039p:plain

午前問題では、ストラテジ、マネジメント系は8割以上の得点率でしたが、比率の高いテクノロジ系の得点率が相対的に低めだったようです。

f:id:meow3571:20210111212210p:plain

聞いたことのない用語からの出題が多かったこともありますが、やはり、ハードウェア・ソフトウェア、コンピュータ・システム構成要素、ネットワークなどの知識が定着していない領域が多かったからかなあ、とも思っております。

これからどうするの?

応用情報の勉強を進めていくなかで、お仕事でもSIerさんへのRFR提出やWBSでのプロジェクト進捗管理、サービスSLAの設定、サーバ関連のやり取りなど、本業でも知識・考え方を活用する場面があり、その点では目論見通りでした。今後も期待できるんじゃないかなと思っています。*5

また、合格後2年間は上位試験であるレベル4の各種試験の午前1試験が免除になるらしいですが、業務・自分が身に着けたいスキル上、これらは特に必要に迫られてないのでどうしたものかなあと思っています。

しばらくはデータ分析の業界で生きていくので、スキル的にはデータベーススペシャリストの知見があると役に立つことはあるのかもしれません。また、今のぼくがやっているお仕事がITサービスマネージャ試験に通じるところがあるらしいので、そういう知見があると業務に還元しやすいのかもしれません。が、いずれにしても現状では他のことに時間を使いたい気持ちのほうが強いですね…

とりあえず、今の会社は応用情報技術者の合格に報奨金が出るので、合格証書が届いたら忘れずに申請しようと思います。

 

 

ということで、2021年最初の記事でした。

みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

f:id:meow3571:20210111233352j:image

*1:上2つは前職、最後の1つは現職のおはなしです

*2:実際、基本情報の出題範囲や問題は一切見てないので、どれくらいの難易度の差があるかは分かってません。

*3:立ち読みした限りですが、キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者とかは非常に分厚い文、基礎的な部分の説明・図式が丁寧なのかなと感じました。

*4:当時は都内で100名程度の新規感染者数だったはずです

*5:転職したから大丈夫ではありますが、誰もコントロールしない炎上プロジェクトに殺される危険性は減らせたかなと思います。