おもちゃばこ。

にゃんのひとりごと。マーケティングリサーチ業界で気ままに生きています。

読んだ本(2021年4〜6月)

2021年4〜6月に読んだ本から抜粋です。

 

 

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

USJ人気の立役者であり日本でも有数のマーケターである森岡さんの著書。「マーケティングとは」論あり、森岡さんなりのキャリア論あり、いろんなトピックが詰まっている一冊。プロローグにもあるように、高校生の娘さんへのメッセージのような1冊。

発売当時から話題ではありましたが、改めて読むと(そういう表現ではないけど)メンタルアベイラビリティ/フィジカルアベイラビリティを取りに行くことの重要性だったり、WHO / WHAT / HOWのフレームワークだったりと、音に聞くP&Gマーケ的なエッセンスを随所に見出すことができました。いわゆる教科書的なマーケティングとの語り口こそ違えど、筋の通ったマーケティングの考え方だなあと改めて思った次第です。

ぼくがリサーチ業界に入ったときに最初の全体研修で教わった「マーケティングとは売れる仕組みを作ることである」という言葉も、本書の第3章からですね。リサーチの人からするとピンとこなかったんですが。

チームのことだけ、考えた。

チームのことだけ、考えた。

チームのことだけ、考えた。

サイボウズ社長の青野さんによる、2015年に描かれた著書。創業当時のがむしゃらに働くサイボウズから、いかにして多様性や働きやすさで評価されるサイボウズになったのかを振り返っています。

少なくともサイボウズ経営陣にとっては、働きやすい会社≠長く働ける会社という点が言われてみればなるほどなあと思いました。少なくとも2015年時点では「退職しても6年以内なら戻ってこれる制度」「制度としての定年なし」など、出ていくのも戻ってくるのもOK、いつまで働くかも本人の自由としていて、別に「終身雇用で全社員に定年まで働く」ことを働きやすさとは思ってないんだなあ、というのが納得。「退職率4%」は結果に過ぎないんですね。

サイボウズさん、多分めっちゃ面白いしいい会社なんだけど、会社を目的のための手段ないし通過点として割り切れる人に向いているんだろうなあって思いました。

政治活動入門

政治活動入門

政治活動入門

2007年の東京都知事選で「こんな国は滅ぼせ!」「スクラップ&スクラップ」で話題になった外山恒一さんによる本。

内容は外山恒一さん視点から再構成された20世紀近現代史・思想史です。"資本主義・社会主義"や”右翼・左翼"って、結局の所は何を大切に思っている集団なんだっけという視点から見ていくと、教科書的な時代の区切り方に違和感が出てくる指摘はなかなか刺激的でした。

ファシズム全体主義」くらいの感覚で生きてきたので、"資本主義・社会主義"に対抗する第3の道としての”ファシズム”という提示をされてしまうと、SF好きなぼくはうっかり「自分ももしかしてファシストだったのか…!」って思ってしまうくらいに、論理にも感情にも訴えかけるのが上手いです。あの演説は伊達じゃないですね…!

正統派な頭のおかしさと、奇抜なマトモさが同居している本でした。読んだあと、無性にオーウェルの小説を読み直したくなりました。

本書で紹介されていた未完成プロモーションビデオ、外山恒一さん公式なのに再生回数2桁が悲しかったので貼っておきます。


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転職学 

立教大学の中原先生とパーソル総合研究所による、「転職」をテーマにした本。12000人似実施した大規模調査をもとに、転職という意思決定に至るメカニズムや、納得感のある転職ができる人の特徴などを整理しています。自身が1年半ほど前に転職活動していた際にも、中原先生のブログを幾度となく参考にしていました。

ちなみに、以前に読んだ中原先生の「残業学」は、前職の頃に読んでわかりみがすぎました。今読んだらきっともっと辛くなる気がします…!

さて、「転職学」で特徴的なのは、転職活動を「書類と面接を突破すること」ではなく、「そもそも、なんで転職する/しないという選択があるのか」「入社したあとに、新しい組織に馴染んで成果を出すために必要な要素はなにか」という、いわゆる転職活動の前後のプロセスも視野に入っていることです。

転職したときの「不満ベース」な動機やその詳細は、転職活動中の自身が感じていたことを本書で言語化してくれていました。また、自身の転職してから1年ちょっと経ちましたが、たしかに「入って終わり」ではなくその後にはその後の不安と苦労があったので、そこまで視座に入れた転職学の視野には非常に共感できました。

データ分析のための数理モデル入門

お仕事ではじめてAutoML案件に携わった際、一番悩んだのが「いいモデルとはなにか?」でした。

ある程度整えてあげたデータをinputに入れるとガラガラポンで数十個くらいのモデルが出来上がってくるんですが、そのモデルからどれを採用するのか、その基準を上司やチームの他の人とどう共有するのか、という点が悩みでした。実際、ここの基本的な考え方と価値観をチームで共有できていなかったので、チームメンバーによる「AUC 0.99!当てはまり最高!採用!」という本当にあった怖い話(実体験)が起こってしまいました。途中で気づけてよかった…!

ということで、「モデルの評価」の考え方を上司やチームメンバーに説明するにあたって、もうちょっと早く出会っておきたかった1冊です。

ルワンダ中央日記行総裁日記

 下記のTogetterを読んでからずっと気になってた1冊。

ロクに機能していない中央銀行をイチから立て直すお話。「異世界召喚」は全然言い過ぎではないなあ、という感想。

とはいえあんまり”内政”チートとは思わなかったのが正直なところ。おそらくですが、金融・財政のことがわかってないとチート的な面白さを十分に消化しきれないんじゃないかと思います。勉強してから出直そうと思いました。

三体3 死神永生

 『三体』シリーズ、ついに完結です。もはや語ることはない。

これまでに読んだSFでもスケールの大きさなら随一です。たかだかハードカバー5冊なので、つべこべ言わずに読んでほしい。